気づいたら、まとめてた。

ただひたすらに興味のある事柄をまとめるだけの簡単なお仕事です。

人間はAI搾取の夢を見るか

メガバンクの採用3割減。

 

10年後にはなくなる仕事。

 

 

世の人々にとってAIは希望でもあり、同時に破壊者でもあります。

 

 

 

え、マジですか。

せっかく就活してもなくなる仕事に就いたら意味ないじゃん!

 

 

 

と思ったそこのあなた。

 

ちょっと一緒に考えてみましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

そもそもAIとは

AIってなに?という問いから始めましょう。

AIはArtificial Intelligenceの略です。つまりは人工知能ですね。

このAIという単語は1956年、ダートマス会議で初めて使われました。

 

しかし、この単語には明確な定義はありません。

Wiki先生は

人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、或いはそのための一連の基礎技術を指す(Wikipediaより引用)

と言い、もっと専門的な機関では

コンピューターにより人の知的な振る舞いを実現することを目標にする研究分野

研究開発の俯瞰報告書 情報科学技術分野(2015)より引用

(国立研究開発法人 科学技術振興機構)

とも言ってます。

 

バラバラです。

 

いろんなところでいろんな定義を出しています。気になる人は「平成28年版情報通信白書」でググってください。

 

 

そしてAIには二種類あります。ここ大事です。

 

 

一つは特化型AI。これは特定の決まった作業を遂行するものであり、一つの機能に特化していることから特化型と呼ばれます。囲碁で人間の棋士に勝ったAI「AlphaGO(アルファ碁)」なんかが想像しやすいですね。

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決められたルールの中で威力を発揮するタイプです。あとは自動運転とか。

 

二つ目は汎用型AI。特定の作業など限定することなく人間と同じように、あるいは人間以上の汎化能力を有するAIを指します。この型に情報をインプットすると、その情報に基づいて様々な動きを自律的に行います。ルールがない中でも自分で思考あるいは試行することで作業を遂行する。特化型の行き着いた究極のAIですね。

 

他にも強いAIと弱いAIと区別されることもあります。

これを提唱し始めたのはジョン・サール教授(カリフォルニア大学)です。『MINDS, BRAINS, AND PROGRAMS』という論文で初めてこの表現が使われました。

引用します。

 

I find it useful to distinguish what I will call "strong" AI from "weak" or "cautious" AI (Artificial Intelligence). According to weak AI, the principal value of the computer in the study of the mind is that it gives us a very powerful tool. For example, it enables us to formulate and test hypotheses in a more rigorous and precise fashion. But according to strong AI, the computer is not merely a tool in the study of the mind; rather, the appropriately programmed computer really is a mind, in the sense that computers given the right programs can be literally said to understand and have other cognitive states. In strong AI, because the programmed computer has cognitive states, the programs are not mere tools that enable us to test psychological explanations; rather, the programs are themselves the explanations. *1

弱いAIは心の研究に使われ、それ自体が心になることはない。つまりは心理学などの心の動きを研究するときのツールとしています。

強いAIは、もはやそれ自体が心です。感情や自由意志、意思決定などの思考プロセスをコンピュータ上で再現するものであり、よくSFで出てくるアレです。

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現在、ビジネスの場で導入される動きがあるのが特化型AIです。データ解析などのアウトソーシングに使われます。人間の知能をAIに代替させるというものです。

汎用型AIには今だ問題点が多く、研究段階にあります。

 

我々が考えるべきは特化型AIの脅威ですね。

 

歴史から紐解く技術革新

AIはいわゆる技術革新にあたります。

技術革新は人類の歴史の中で幾度となく繰り返されてきた事象です。

今まで技術革新が起きた時、既存の労働者は憂き目にあったのでしょうか。

 

産業革命を経て、機械工業が発達し綿織物などの製品の生産効率は飛躍的に向上しました。

その機械に反発したのが当時手作業でこれらの製品を生産していた手工業者たちです。彼らは、自分たちの仕事を奪われまいと工場に乗り込んで、ハンマーなどで機械をぶっ壊しました。ロックですね。

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これだけ見たら、AIに仕事を奪われそうになっている我々と同じです。

たしかに、手工業者は窮地に立たされました。これは事実です。

 

しかし、注目すべきはこの後の流れ。

 

実は彼らの境遇は良い方向へと変化しました。

 

彼らは仕事を追われた後、工場で働くようになります。

機械の発達により生産効率は上がり、それによって出た利益が資本家から手工業者へ給料という形で還元されていったのです。結果的に、彼らは中産階級として日銭を稼ぐ不安定な生活ではなく、安定した給料によって、安定的でより豊かな生活へとシフトしていったのです。また、産業革命の機械発達によってエンジニアなどの新しい職業が生まれました。

 

また、1990年代から現代にかけてネオラッダイト運動が起こっています。高度になってゆくITなどによりコストカットが進み生活は苦しくなる。果てはAIによって人々の仕事が奪われるんじゃないか、というやつ。今の状況そのまんまですね。

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たしかに、ATMは普及しましたが銀行の窓口業務は依然として残ったままです。Amazonが出てきてもスーパーなどはいまだに生活の中心にあります。

 

要は使い分けです。

 

生物の歴史を見ても、窮地に立たされるということは決してその種にとって悪いことだらけでもありません。天敵に滅ぼされそうならば、天敵と戦う力、あるいはそもそも戦わないようにする擬態、子供を増やして数で圧倒するなど様々な方法で生物は生き残ろうと進化を遂げました。

 

人間も生物なのだから、ITの発達という天敵がいても時間をかけて生き残る道を探していくのでしょう。19世紀の反省を上手く活用しましょう。

 

AIの役目は創造的破壊

前項において、ちらっと産業革命でエンジニアが生まれたという記述をしました。

既存のビジネス(手工業)をぶっ壊して、新しいビジネス(エンジニア)を生んだ。

僕はAIでも同じことが起きると考えています。

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ガートナー社はこのようなAIによる影響を下図のように予測しました。

 

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スマートマシン(AIなどのテクノロジー)によって破壊される(奪われる)仕事は17%、スマートマシンによってよい影響を受けるのが合わせて34%、影響を受けないのが49%。つまりは、テクノロジーの発達によって良い影響を受ける、もしくは受けないのがおよそ8割を占めているというのです。

他にも、政府発表の資料では

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というような予測がなされています。バックオフィスや製造調達など企業のいわゆる血液のような仕事が人間の手を介することなく、AIに代替されうるということを示唆しています。これはヒューマンエラーや過剰な人的リソースの投入という無駄がなくなり、企業がスマートになることを表しているとも言えます。

 

かくしてAIによって煩雑なデータ処理などが簡略化され、人間はさらに本質的な問題へと迫るための時間やエネルギーを確保することができます。経営・商品企画やマーケティング職などの意思決定のような上流工程職、営業販売、サービス業、IT業務などへと職の流動が始まります。

 

上流工程職では人間や企業の行動の本質に迫り、営業販売やサービス業は人とリアルに接する、より人間らしい働き方へとシフトしていきます。IT業務は産業革命時のようなエンジニアです。保守管理とさらなる発展。

 

おそらくではありますが、人はよりクリエイティブな仕事を求められるようになると思います。AIには代替されない「人間ならではの発想」。つまりは、人間力の時代に入っています。

この人間力とは人の気持ちに寄り添ったり、この仕事が実際に人々が世の中の本質を見抜くことに役立っているという手触り感を感じ取る力。こういったものが今後求められる時代が到来しつつあると、僕はそう考えます。

 

 

他にも日本が現在抱える問題についても大きな進展を見せそうです。

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現在、労働人口の減少による労働力不足を移民で埋め合わせようという動きがあります。移民を受け入れるとたしかに労働力の不足は補えますが、大量に受け入れた場合を考えると治安の悪化、労働者の質の低下、日本国民の国民意識の低下、日本語教育への費用拡大、社会保障費のさらなる増大など様々な影響が出ることもまた事実です。

 

AIは業務効率並びに生産効率を飛躍的に向上させ、雇用を一部代替あるいは補完します。これにより完全とはいかないまでも相当なまでに労働力問題は解決へと向かうのではないでしょうか。

 

人間がより人間らしく、人間にしかできないことを考えるようになる。

そういうの、すごくいい。

 

 

AIはブームなのか?

実は今回のAIブーム、初めてではありません。実は三回目です。

AIは発展と停滞を繰り返して、進歩しています。

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第一次、第二次は来るには来たのですが、AIを発達させるための技術がそもそも追い付いていなかったり(インフラの問題)、迷路のような簡単な問題は解けても現実の複雑な問題は解けない(アルゴリズムの問題)といったようにブームと冬の時代を交互に繰り返すものでした。

 

しかし、2010年に第三次AIブームが起こります。

これは単なる一過性のブームではないと考えます。

主な理由は3つです。

 

①コンピューター自体の処理速度の向上

これはわかりますよね。

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第二次ブームが来た1980年代でもPCはこんな感じです。

もはや説明不要。詳しい人は教えてください。

コンピューターの処理能力の向上によりアルゴリズム解析の分野も進歩しました。

 

ビッグデータの利用

現代社会ではインターネットが急速に発達し、我々の生活には必要不可欠のものとなっています。インターネット上では膨大な量の情報がやりとりされ、その情報はリアルタイムで解析、傾向が蓄積されていきます。

最近はビッグデータとも呼ばれていますね。この膨大なデータを解析し、傾向を見つけ出す。AIの得意分野ですね。さらにディープラーニングなんかも発見されました。

これ以上書くと専門の人に突っ込まれそうなので黙っておきます。

気になる方は自分で調べましょう。

 

③AIへの関心の高まり

僕はこれが一番大きいと考えています。

現在ではAIのプログラミング言語Pythonなどは勉強しようと決心すればいくらでも専門的な教育を受けることができます。

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また、AI自体がアマゾンのAlexaなどのスマートスピーカーなどを通じて生活に浸透することになり、AIという存在が当たり前になっていきます。

 

このAIという存在が当たり前になるということが非常に大きな転換点です。なぜなら、生活に密着した技術というのはできるだけ動作が精確で、実用に耐えうるものでなければなりません。それこそしょっちゅう動作不良を起こすようなら使い物になりません。

実用に耐えうるようになったことで、人は新たな使い道を考えるようになります。これによってAIが加速度的に進化すると考えています。

AIへの関心の高まり、そしてそれを助ける裾野の広がり。

すごいですね(小並感)。

 

以上の3点が第三次AIブームがブームで終わらなさそうだ、という予測の理由です。

 

これ以上話すと専門の人にボロッカスに叩かれるのでやめます。

 

 

あとがき

今回はちょっと技術的な専門外の話をしたので頭が痛いです。

現代日本には課題が山積みです。しかし、それを解決してくれるかもしれない。あるいは、解決の糸口になるかもしれない。

それがAIだと考えています。

 

日本は少子高齢化により労働人口が減少し、現役世代に多大なる責任がのしかかっていることは疑いようもない事実です。そんな中で、僕たちのようなこれから社会に出ていく若者は少しでも質の高い、生産性のある仕事をすべき……とまでは言いませんが、人間にしかできない仕事について考えるきっかけになれば幸いです。

 

2045年にはシンギュラリティ、いわゆる技術特異点(AIの知能が人間を超える日)が来ると言われています。

しかし、AIを有効活用するということは人間の能力を強化することもできます。

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また、人間と人間を調和させるのは、人間にしかできないことです。

自分の夢や哲学、理想を共有し、人間でしか戦えないフィールドで仕事をする。AIに任せられるところは任せちゃいましょう。だけど、人間のコアな部分は任せちゃダメです。

 

 

実はこれスタンリーキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」の番宣記事みたいなもんです。嘘です。

 

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気になった方はぜひ見てください。

 

以上です。

 

 

10年後の仕事図鑑

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AI時代の働き方と法―2035年の労働法を考える

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